前述(彼の世から見た『貧富』、壱)の例とは反対に。
金銭面に於いて恵まれない家庭に生まれ、不自由な生活を送りつつ小中と義務教育を受け、中小企業に短期雇用の口を得ても、正社員になるコト叶わず。
日々、金銭の思案をし続ける生涯を閉じても、彼の世における課題をこなしたとは言えません。
此の世に生まれ出でた時点から、人生街道のハンデキャップを持たぬ者ゆえに、大海原に漕ぎ出す小船の如くやらなければ、学ばなければ為らないコトは多々あります。
なれど悲しきかな。
彼の世で背負った課題をすっかり忘れ、金銭、名誉、快楽と言った、此の世における富を得られないコトに対する不遇や愛憎の念を抱いたまま、生涯を閉じる者は数知れず…。
彼の世に物質的な蓄財なんて、何一つ無いのに…。