思考錯誤屋の呟き

「日々の事柄」を適宜更新中。

セキュリティ業界噺3

セキュリティの業界紙には過去何度か指摘している事だし、生体認証業界に属している人ならば周知の事実だけども、一般に知られていないのが生体認証の問題点。

それは、「生体情報は不変」という考え方。

確かに生物学的には、「生体情報は不変」かも知れない。
「かも知れない」と言うのには訳があって、例えば遺伝子情報。
現代の医療技術における成功例は少ないようだが、遺伝子治療の技術を用いれば、遺伝子情報さえも書き換えられます。


話題を、生体認証に戻そう。
現在の生体認証技術で用いている「生体情報は、可変」です。

可変の根拠は二点。
一つは外的要因による変化。これは怪我や日常生活での状態変化であり、もう一つは成長要因や老化による生体情報の変化がある。

特に外的要因における問題点は、生体情報を登録した部位を怪我してしまうと、この部位の生体情報が利用できなくなるから。

「おいおい、それは指紋認証の場合だろ?」と素人判断する人が居るかも知れないから、他の認証方式の弱点も説明しよう。

静脈認証の場合は、骨折をすると骨の周囲にある血管の位置が変わる可能性がある。この場合、位置がずれた血管情報は元の情報とは異なってしまうため認証率が悪くなり、最悪の場合、静脈認証の利用が出来なくなる。

もしもあなたが骨折した後、静脈認証の認証率が悪いのならば、生体情報の再登録をお奨めします。

加えて、この夏、キャッシュカードを生体認証方式で作る事を考えているなら、冬場にカードが使えなくなる可能性のある事を踏まえていて欲しい。反対に、冬場作ったカードが夏場に利用出来ない事もある。少し変わったところでは、夏場脱毛して冬はそのままって言うのも、認証率が落ちる原因になる。

顔認証の場合、特に酷い怪我は顔のパーツの位置が微妙に変わる可能性がある以上、再登録が必要になるでしょう。

声紋認証は、風邪による声の変化や喉あれに、対応し切れていないのが現状です。

上記の外的要因に加えて、指紋認証は、乾燥時に取得した生体情報は水仕事や入浴、発汗などで指がふやけると認証出来なくなる傾向が高く、指紋面に接着剤が付いていても認証率は落ちます(←入国審査をすり抜ける、ポピュラーな方法)。

虹彩なら大丈夫だろ!」と言う方へ。
カラコン一つで、偽造可能(=元の情報では、認証できない可能性が高くなる)です。

生体認証は、所詮、画像認識の延長にある技術です。便利ですが、どんな技術も過信してはいけません。