思考錯誤屋の呟き

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リスクマネジメントの憂ひ

はてはキーワードには、「リスクマネジメントのプロセスとして、リスク要因を特定しその影響度を分析、評価し、それに対応する戦略を打ち立て、リスクをコントロールする(http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%EA%A5%B9%A5%AF%A5%DE%A5%CD%A5%B8%A5%E1%A5%F3%A5%C8)」と記載があるけれども、何となく判り難いと感じる方へ、自分の体験に置き換えて考える方法があります。


リスク要因を「あなたが、電車に乗り遅れそうになった」事と仮定します。

ホームのベルが鳴り終わり、ドアが閉まる寸前、なんとか駆け込んで間に合った。
あなた自身のリスクは減った?


「減った」と思ふ方へ。
影響度合いの考え方が欠如しています。


影響度の分析は、次のように考えられます。

あなたが駆け込んで来た事で、電車の発車時間が30秒間遅れたとしよう。電車の運行上、30秒間を取り戻すために余分な加減速を行なう必要があるとする。

あなたが駆け込まなかったら、この30秒間分の加減速は必要ない。と言う事は、あなたが駆け込んだ事で「余分に使わなければならないエネルギーがどれくらいなのか」判れば、あなたが乗り遅れた事に伴う損失との比較が出来る訳だ。

何? 余分に使わなければならないエネルギーの計算方法が判らない?(汗)

それでは、別の喩えにします。

節電が叫ばれる昨今、運転手は加減速を避け、次の駅への到着を30秒遅らせたとしよう。
この場合、乗客全員の予定が30秒間分遅れるよね?

もしも電車に120人の乗客が乗っていたら、あなたの行動は、合計3,600秒間(=1時間)もの時間を奪った事になる。
この1時間分の損失をあなたの時給に換算すると、いったい、いくらでしょう?


もう一つ。
リスクマネジメントの評価をする際は、想定範囲が重要だ。
上記の喩えで言うなら、「あなたが駆け込んで乗った電車に、たまたま乗り合わせた乗客全員をその範囲とする」か、「120人の乗客に関わる様々な人達についても、同様に30秒間分の遅延が発生する分までを範囲とする」のか。あるいは「30秒間分の遅れが発生した鉄道事業者を含む」のかによって異なるけれども、想定範囲の設定条件によっては、あなたの時給とは比較にならない程の損失となる可能性が高い。


と、ここまで書いて気づいたが、電車の喩えは大都市圏に限った話しかも知れない。
地方だと場所によっては日に往復1本しない所もあるから、この場合は駆け込み有効かも(汗)。


戦略とコントロールについては割愛するけれど、リスクマネジメントの考え方は、影響の範囲を自分主体ではなく、影響を受ける側の視点が重要って事。

だから、「企業における社員管理の不徹底で顧客情報の漏洩が危惧される」リスクマネジメントの考え方で重要なのは、「被害を出した結果、自分達企業がどのくらいの損失を受けるか」ではなく、「直接、間接を問わず、被害を受ける側の視点で考える」事が重要なのだけれども、世の企業の大半は自分達中心の視点が主流のように感じる。

この↑説明、「企業」という言葉を「内閣」に置き換えた方が、判り易いかな。

「内閣における、大臣の資質が足りない事で、行動が問われ」てしまうリスクマネジメントの考え方で重要なのは、「マスコミを騒がせた結果、内閣や政党がどのくらいの損失を受けるか」ではなく、「直接、間接を問わず、被害を受けた市民の視点で考える」事が重要なのだけれども、世の政治家の大半は、霞ヶ関中心の視点しか無いのだろうな。

でもね。この程度の政治家を議会へ送っているのは、この国の市民なのさ(笑)。
大臣や政治家を嘲る前に、市民一人一人が、事の大小に関わらずリスクマネジメントと向き合わないとね。