分業化した世界に育った者は、自ら喰らいつく肉が、かつて息をしていたことさえ想像できない。
切り身の魚が海を泳いでいる、とかね。
十五年くらい前だったか。
新卒採用担当の現場で、パソコンのスキルを聞くと、
「自作パソコン作れます」
ってのがあったけれど。
まぁ、今もそうなのだけど。自作パソコンってのは作るモノじゃなくて、あれは組み立てるモノ。
プラモデルと何ら変わらない。
あまり思い出せないが。
子供の頃、目覚まし時計を分解するのが好きだった。
分解はできるが、組み立ては無理で。
どうやったのか知らんけど、親父が直してくれたんだよな。
ってことは、3、4歳の頃から、ネジ回しを手にしていた訳か…自分。
肥後守は、小学三年。
あれ、なんか使い辛かった記憶しかない。
その後は、専らオルファ。
半田ゴテを手にしたのは、小学五年。
最初に作った短波ラジオは、見事に!鳴らなかった。
あれ。
短波だったから、実はちゃんと作れていたのかも知れないが、受信できてなかっただけかもな。
電波の種類なんて考えてなかったのが、敗因だろう。今にして思えば。
一から作るのと。
壊れた物を直すのと。
難易度は後者。
特に、初めて見る"壊れた物"を直すのが厄介。
何が壊れいて、何が壊れて無いのか?
初めて見る物だから、壊れていない状態を想像できないと、修理は無理。
更地に電柱を建てたりケーブルを引っ張ったり、建屋の中にネットワークケーブルを施設する構築の連中からすると、保守は簡単だろうと思っている連中も多い。
通信業界に限らないけども。
保守屋ってのは実に面倒で。
壊れた物の周囲にある稼働している物は、絶対に止めないことが要求されるのよ。
更地にケーブル敷くのとは訳が違って、何十本とあるケーブルの中から断線した物だけを撤去し新たに敷く。
毎回ジェンガ。
ミスは許されない、将棋崩しみたいなもの。
しかも施工ミス付。
ここ数年、施工ミスの現場が多いのは、人手不足なんだろうな。
明らかな施工ミス。
それでも、動いてしまうから厄介で。
ミスがあるから、短期間で壊れる。
通信業界ですら、隠れた施工ミスが多いのだから。
世の中の公共事業も、似たり寄ったり。
世界のニュースで、オープンしたてのビルが崩壊するとか、橋が崩れるとか。
あれ。
いずれ日本でも日常になるわよ。
~~6月8日の呟きより